情報の非対称性-逆選択とモラルハザード-とは?わかりやすく解説

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こんにちは!以前の記事で、神の見えざる手が働かなくなる例として「情報の非対称性」に少しだけ触れました。

財に対する売り手と買い手の持つ情報が、必ずしも同じとは限りません。例えば売り手の方が多くの情報を持っている場合、自己の利益を追求してしまうと買い手は不利な取引を強いられるために幸福度は減少してしまいます。これを、情報の非対称性と言います。

情報の非対称性とは、取引の際に一方の当事者がもう一方よりも多くの情報を持っている状況を指します。つまり、取引に関連する情報が均等に分配されていないことを意味します。この非対称性は、市場の効率性を低下させる要因となり得ます。

今回の記事では、具体的に非対称性が引き起こす問題を新たな概念とともに徹底解説していきます!

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逆選択

情報の非対称性が存在する場合、逆選択の問題が生じることがあります。例えば、保険市場において、保険の購入者が事故歴や健康問題のような自らのリスクを正確に知っているのに対し、保険会社はそれを正確には知らない場合、高リスクの人々が保険を購入する傾向が強まる可能性があります。

逆選択の具体例

自動車保険市場を考えてみましょう。もし運転手が自分の運転スキルや事故履歴を知っているが、保険会社がそれを知らない場合、事故を起こしやすい運転手(高リスク)が保険に加入する確率が高くなります。するとどうなるでしょうか?保険会社はリスク回避のために新規加入者の保険料を引き上げます。それにより、高リスクはもちろん低リスクの運転手まで保険を契約しづらくなる可能性があるのです。

つまり、最初から取引をしないことが損のない無難な選択となるため、市場が崩壊する恐れがあるのです。

逆選択への対策:シグナリング

逆選択の問題に対する一つの解決策が「シグナリング」です。シグナリングは、高品質の商品やサービスを提供する企業や個人が、その高品質を示すための信号を市場に送る行為を指します。この信号により、消費者や他の市場参加者は、商品やサービスの真の価値や品質を判断することができます。

上記の自動車保険の例で考えると、低リスクの運転手がそれを証明したい場合、安全運転講習を受けて証明書を取得することで、保険会社に「私は安全な運転手です」という信号を送ることができます。

また、就活市場ではシグナリングが常に行き交っていると言えるでしょう。高学歴の人は、それによって高い能力や資質を持っている可能性が高いと企業に信号を送ることができますよね。また、企業が製品の品質保証や認証を取得することも、その製品やサービスの品質を示す信号となり得ます。

モラルハザード

モラルハザードとは、一方の行動が他方にとってのリスクとなるような状況下で、保護や保障が与えられた結果、リスクを取る傾向が高まる現象を指します。要するに、不適切な行動や不注意な行動が増加するリスクがあるということです。

モラルハザードの例

保険業界はモラルハザードの例としてよく引き合いに出されます。例えば、火災保険に加入している家主が、保険金を受け取るために故意に火をつけるというケースが考えられます。これは極端な例ですが、「家が燃えても保険金が下りるんだから」という考えから、正しい火の扱いへの緊張感などが低下する可能性があります。このように、保険の存在が不適切な行動を促す可能性があるのです。

モラルハザードの解決策

効率賃金

労働市場において、モラルハザードに対する一つの解決策が「効率賃金」です。これは、労働者に市場平均よりも高い賃金を支払うことで、雇用主が求める努力水準や行動をとるように促す考え方です。高い賃金を受け取ることで、労働者はそのポジションを失いたくないと感じ、より良いパフォーマンスを提供する可能性が高まります。

リスク負担

保険業界においてモラルハザードがあることを説明しましたが、当然保険会社もこの状況に甘んじているわけではありません。例えば10万円が「免責」と決められた場合に100万円の請求が生じた場合、保険会社から下りる金額は90万円となります。

また、これ以外にも定額自己負担、定率自己負担等の措置によって保険加入者にもいくらか支払わせる仕組みがあり、これによりモラルハザードを避けるインセンティブを与えます。

まとめ

お互いの持つ情報が同じでないために、逆選択やモラルハザードが起きてしまい市場に歪みが生まれてしまうことを学びました。そのために、シグナリングや一部の金をサービスの受益者に負担させることによって、この状況に対処しようとしているのです。これも、利己的な個人がこのような状況を回避し円滑な取引をしたいがために行っていると考えても面白いですよね。

最後に、自分が読んで役に立ったおすすめの書籍を紹介しておこうと思います。

1:大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

値段的にも内容的にも初学者なら圧倒的にこれ。非経済学部ならこれだけでいいレベル

2:アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学

現在自分がメインで使っている参考書。値段も大きさも張るけど網羅性は最高峰、内容も初学者でも全く問題ない。

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