経済学における「独占」とは?その内容をわかりやすく徹底解説!

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独占とは、市場において1つの企業が商品やサービスの提供を行っている状態を指します。競合企業が存在しないため、その企業が商品の価格や品質、供給量を自由に決めることができます。こう聞くと、企業からしてみれば独占は嬉しいですよね。では、企業にとって良いことは、消費者にとっても良いことなのでしょうか?

今回は、経済学における独占を徹底解説していきたいと思います!

なぜ独占が生まれるのか

結論として、主に「参入障壁」があることにより形成されます。ここでは、独占が生まれる主要な原因としての参入障壁の種類を確認しましょう。

  • 技術的な障壁:ある商品の製造やサービスの提供に特別な技術が必要であったり、それを持っているのが1つの企業だけの場合や、設備投資などへの初期コストが高い場合、独占が生まれやすいと言えます。また、TwitterやFacebookのような顧客が増えれば増えるほど価値が上がるようなサービスの場合、独占的な状態となる可能性があります。・・・ネットワーク外部性
  • 法的な障壁:特許や著作権などにより、他の企業が同じ商品やサービスを提供することができない場合。
  • 規模の経済:電力や天然ガスなどのインフラ系のように生産を増やすほど費用が高くなり、その費用が消費者負担になる場合、生産者と消費者双方にとって独占が理想的となる場合があります。・・・自然独占

規模の経済とは、企業が生産量を増加させることによって、製品ひとつあたりの生産費用が減少する現象です。発生する理由はいくつかありますが、費用の分散、専門化、そして製造効率の向上が一般的な要因です。

独占企業の特徴と戦略

独占状態にある企業は、完全競争企業と何が違うのか、利潤を最大化させるためにどのような行動を取るべきなのでしょうか?

価格設定者(プライスメイカー)

完全競争市場に参加している企業は、自社が販売する財の価格は市場価格に依存する価格受容者(プライステイカー)であることを学びました。これは、完全競争においてはすべての企業が同じ財を供給すると仮定しているため、価格を上げようものならすべての顧客がより安い他社に流れてしまうためです(=完全に弾力的な需要)。しかし、独占状態では代替財が存在しないため、企業は正の利潤のために価格を自由に設定できるのです。

限界収入曲線

完全競争企業では、限界収入=市場価格となるため、曲線は水平であることを学びました。しかし、独占企業においては、限界収入曲線は右肩下がりの形状になっています。これは、市場に一社しかいないために供給が増えれば価格も下がるという需要の法則の影響をモロに受けてしまうためです。つまり、需要曲線と同じように、多くの財を売りたいならそれだけ価格を下げなければならないのです。

最適生産量

独占企業は、財をどれくらい生産するのが最適なのでしょうか?結論は完全競争企業と同じように限界費用=限界収入となる点です。これは独占だろうと利潤=総収入-総費用は変わらないことから容易に理解できます。

最適価格

独占の最大の強みは、価格を自由に決められる事にあります。なので、完全競争市場と同じような限界費用=限界収入=市場均衡価格のルールに縛られません。MC=MR<P(価格)がセオリーです。

ただ、独占企業と言えど消費者需要を正確に把握することは重要です。安い値段で売る理由はない一方、過剰に価格が高すぎれば消費者は買わなく(買えなく)なります。つまり、最適生産量とその財への市場需要曲線が一致する点が最適な価格設定と言えるでしょう。

価格と生産量を変える判断

独占企業はプライスメイカーであるため、1度価格を決めたとしても、より利潤が得られる価格と生産量があればそちらを選ぶでしょう。では、その判断基準はどこにあるのか?

先ほど、独占企業は供給を増やす場合価格を下げなければならないと説明しました。この時、価格を下げることによる収入減少分よりも供給を増やしたことによる収入増加量が多ければ、企業は生産を増やすでしょう。もちろん、これは供給を減らして価格を上げる場合も同じです。

独占への対策

独占が市場、ひいては社会に悪影響を及ぼすなら、当然何らかの対策が取られるはずです。ここから、企業と政府でどのような対策を講じているのか見ていきましょう。

第一種価格差別

第1種価格差別は、販売者が個々の消費者の支払意欲に応じて、異なる価格を設定する場合です。これにより、企業は各消費者から最大限の消費者余剰を取り込むことができます。完全な第1種価格差別を実世界で完全に実現することは難しいですが、例えばオークションや個別交渉などが挙げられます。

第二種価格差別

第2種価格差別は、消費者が異なる数量や品質の製品を購入する際に、異なる価格を支払う場合です。例えば、1つ買うよりたくさん買う方が1つあたりの単価が下がるケースは誰しも体験したことがあると思います。また、エコノミークラスとビジネスクラスの航空券のように、サービスレベルで価格が異なるケースなどもこれにあたります。

第三種価格差別

最後の価格差別は、異なる消費者グループが異なる価格を支払う場合です。これは、学割や高齢者割引、地域による価格差などが第3種価格差別の例です。

政府による対策

政府はルールを作る立場にある存在なので、さまざまな対策を講じています。

反トラスト法(米)独占禁止法(日本)のように直接独占を禁止するものや、生産費用水準まで価格を引き下げさせる価格規制など、破れば企業にペナルティを与えるようなルールすら決めることができる点で、やはり強いです。

独占は悪なのか

独占に対して悪いイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、経済学においては、必ずしも絶対悪とは言いきれないと思います。

確かに、医薬品のような人の命に関わるものを特定の企業が高価格で販売するのは公平性や倫理にかけると言えるでしょう。また、企業が既得権にしがみついているためにイノベーションが生まれにくくなる問題もあります。

しかし、先に説明したように生産者と消費者の双方が望んで独占が生まれてしまう場合や、特許や著作権があるからこそイノベーションが生まれるのも事実です。自分が作ったものは自分のものであると正しく保証されなければ、生産者にモノづくりのインセンティブは失われてしまいます。そのような社会で経済の成長はないでしょう。

つまり、独占=悪という発想ではなくそれがどのような状況で起きているかが大事なのです。

まとめ

経済学では、独占の影響を深く研究しています。市場の健全な競争が保たれることは、消費者の利益だけでなく、経済全体の発展にも寄与します。このような視点から、独占や競争に関するルールや法律が制定されているのです。

しかし、条件反射的に負のイメージを持ってしまうのではなく、様々なモデルを考慮することが重要です。

最後に、自分が読んで役に立ったおすすめの書籍を紹介しておこうと思います。

1:大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる

値段的にも内容的にも初学者なら圧倒的にこれ。非経済学部ならこれだけでいいレベル

2:アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学

現在自分がメインで使っている参考書。値段も大きさも張るけど網羅性は最高峰、内容も初学者でも全く問題ない。

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