-経済学-長期競争市場での企業の参入と退出をわかりやすく解説!

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前回の記事では、短期での生産者(企業)の動きを見ていきました。短期において、企業は物的資本を動かすことはできませんでしたが、長期では全てが変動要因となるため、分析結果も違ったものとなります。そこで、今回は長期での分析において出てくる新たなルールや考え方を見ていきましょう!

前回のおさらい:完全競争市場

長期で考える場合でも前提は前回と同じです。

・個々の買い手や売り手の行動は、市場価格に影響を及ぼさない。

・市場において全ての売り手は同じ財を生産する。

・市場の参入と退出は自由。

再び以上の特徴を押さえた上で長期について考えていきましょう。

規模の経済、収穫一定の法則、規模の不経済

規模の経済とは

これは、企業の生産量を増加させることによって、製品ひとつあたりの生産費用が減少する現象のことを言います。発生する理由はいくつかありますが、費用の分散、専門化、そして製造効率の向上が一般的な要因です。

収穫一定の法則

最初は規模の経済が起きていても、人や設備を増やせば増やすほど管理が複雑化し、ひとつあたりの生産コストが徐々に効一定になる法則を収穫一定の法則と言います。

規模の不経済

規模の不経済とは、企業の規模が一定のポイントを超えた時、一つあたりの製品の生産コストが増加する現象です。この場合、規模の拡大が効率を低下させ、コストが増加します。これは、企業の規模が過大になり、管理が複雑になり、コミュニケーションやコーディネーションのコストが増加することによって発生します。

企業の退出

前回学んだ操業停止はあくまで短期で生産をストップするか否かであり市場からの撤退(退出)ではありません。では、企業はどのような条件で退出をするのでしょうか。まず結論から、

長期では平均総費用>市場価格、または収入<費用の時に企業はその市場から退出する。

短期でサンクコストとして考えた固定費用も長期では動かせるので変動費用となります。ここで、総費用=固定費用+変動費用なので、結局考えるのは総費用、それも生産量ひとつあたりの平均総費用となるわけです。ここから、企業の短期供給曲線は平均変動費用より上の水準にありましたが長期では平均総費用より上に位置する限界費用曲線だと理解できます。

長期競争均衡

長期分析はあらゆる変動要因を考慮可能なので、ある市場内で企業は参入と退出を繰り返します。

企業の参入

長期的に見ると、ある企業が経済的利潤を上げている場合、自社が生産した場合の平均総費用を考慮した上で他の企業がその市場への参入を検討します。なぜなら、高い利潤が魅力的で、それに惹かれて新たな企業が市場に参入してくるからです。新たな企業の参入により、市場の供給量が増え(供給曲線の右シフト)、商品の価格は下落します。

企業の退出

逆に、もし企業参入がいきすぎて価格が下落、平均総費用以下になり多くの企業が損失を被る場合、市場から退出を考える企業が増えます。これにより、供給量が減り(供給曲線の左シフト)、商品の価格が上昇します。

長期で利潤はゼロになる

自由参入と自由退出が繰り返されることにより、長期的には企業の経済的利潤はゼロに収束します。すなわち、価格が企業の平均総費用と同じになる点で均衡します。経済的利潤がゼロとは、企業が平均総費用分の収益を得るだけで、追加的な利潤は得られない状態を意味します。

経済的利潤と会計的利益

  • 経済的利潤:これは、一般的な費用だけでなく機会費用(企業が他の事業に参加していれば得られたであろう収益)を差し引いた後の利潤を指します。
  • 会計上の利益:これは、会計原則に基づいて計算された企業の収益から費用を差し引いたものです。通常、会計上の利益は経済的利潤よりも大きいことが多いです。なぜなら、会計上の利益は機会費用を考慮しないからです。

このような理由から、経済学でゼロ利潤と聞いても恐れる必要はないことと、その市場において会計的には利益が出ていたとしても、他の市場に参入した方が多くの利益を得られるならば、今の所からは退出すべきか否かの検討をすることができるのです。

まとめ

長期競争市場は、企業の経済的利潤をゼロにする力を持っています。これは、自由な参入により供給が加熱すると平均総費用と機会費用の観点から退出する企業が現れ、最終的には均衡が維持されるためです。まるで、見えざる手に導かれるように…

最後に、今回の内容は本来図を多く使って視覚的に理解するべき内容です。そこで、自分が読んで役に立ったおすすめの書籍を紹介しておこうと思います。

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2:アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学

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